(そんな長くもないので、「撮影日誌1」を読んでくださいまし)
そして、映画作りの第一歩が踏み出されました。
しかし、無…。
何もない。
いや、何もないという訳ではない。
1「映画好きの高校生を主人公に据えること」
2「十三の商店街と第七藝術劇場を舞台にすること」
3「エロや殺伐とした話は御法度」
4「2本立てかもしれないので尺は1時間前後」
という制約はある。
1は、この企画が、ある高校生のイベントのシンボル作品でもあるためだという。
シンボル作品?象徴?よくわからないが、東京から1本大阪から1本作られるそうだ。
2は、もちろん七藝復活映画だから。
3もまあ、高校生+商店街だから分からなくもない。
4 ?最近2本立て興行って減ったよな、と思いながらも、
長々とした映画より小気味いい方が観る方としても好みだから
うーん、困った。
早速ホン打ち、と称して中村さんを巻き込むことにしました。
中村さんは「ニワトリはハダシだ」で同じ助監督を務めた先輩です。
映画界に(だけに限らない、のか…?)友人の少ないもの同士、
なぜか仲よくしてもらってる上、森崎東全作品上映会などで
志摩さんとも親しい。
打ってつけ(=災難)でした。
新宿のルミネでお茶しながら打合せ…なのか雑談なのかペチャペチャ喋ってました。
その時の内容なんてここに書けません。
いや、書くんですけど…あまりにアホすぎて、ねえ。
シナリオにすると、ちょうどこんな具合…
○繁華街の喫茶店
男が二人、向かい合って座りダベっている。
灰皿には吸い殻が溢れている。
男1、つかないライターを何度も無意識につけようとしながら、
男1「商店街かぁ…主人公の家は何屋がいいだろうね?」
男2「(向かいにある店に目をやり)パン屋…ですかね」
男1「なんで?」
男2「(とても言えない)いや…何となく…」
中村さんは話す途中、句読点の時に手や机を叩きながら話します。
新人の噺家さんのようです。
(ポン!…さて、例によりまして喜六、清八といぅ両名の大阪の若いもん、
だいぶ時候もようなったんで「ひとつお伊勢参りでもしよやないか」といぅ
ええ加減な連中がありましたもんで「でも」付きのお伊勢参りでございます…
…いやいや、いかんいかん、相談に乗ってもらっといて何「東の旅」妄想してんねん!)
「映画好きの高校生ねぇ…」
「いやぁシンパシーも何もないですね。自分の心情垂れ流すような作品ばっかり撮ってるくせに人の作品にケチつけてウンチクたれて…」
「俺、まさにそういうヤツだったよ」
「……」
な〜んにも結論が出ないまま、新宿を転々として、最後はゴールデン街。
酒を飲まないので、ゴールデン街なんてほとんど来たことなかったんですが、
酔っぱらいの論客なんかにカラまれたらどうしようと思いながら、
中村さんの知り合いの店へ。
偶然、店に来ていた映画芸術編集部のKさんと少し中身のある話ができました。
「他人の視点、価値観に耐えうるホンを作らないと見せる意味がない」
今日、試写で見てきたという新人監督Nさんの作品を例にひき語ったはりました。
いや、その通り。
そこが引っかかってナカナカ進まないんですよ。
ま、書かないと始まらないので進むも進まないもないんですが。
ただ、自分の小さな心的世界を他人に垂れ流すような作品だけは作るまい、
と改めて自分の心の中で宣言しました…ウーロン茶を飲みながら。
(まだまだつづく)
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