(前回までのあらすじ)
二人で悶々とした日々を送る日々を送る小林と中村。
一度は、高校生の失恋をモチーフにしたプロットを仕上げたが、
張本人の小林が「これでは面白くない」と駄々をコネ始めた…
自分でそれまでのホン製作過程を振り返ってみました。
「60分ぐらいの中篇」で、という話だったので
どこか腰が引けてたのかもしれない…
「この話はちゃんとした規模で出来る時に取っておこう」とか
「これは又こんど」とか、そんな気持が全くなかったか、
といわれたら否定できません。
やっぱりやるからには全力でやるしかないのだ、
出し惜しみなんてしてる場合じゃない!
この作品が最後だと思って全部ぶち込むべし!!
そして、中村さんと二人でやる限界も見えてきました。
脚本作りとは、異質の者のぶつかり合いであるべきだと、
僕は考えるのですが、演出部あがりで、
普段から付き合いのある二人が顔寄せ合っても、
違う視点で考えることが難しいのです。
できれば、キッチリと構成のできる職業脚本家の
手を借りれないだろうか、と中村さんに無理を言い始めました。
「金ないからなぁ」と、否定的だった中村さんですが、
さすがに進まないとヤバイと思ったのか、
数日後、荒井晴彦さんや羽原大介さんの弟子筋にあたる
若手・吉川菜美(きっかわなみ)さんを紹介されました。
昼間は製作会社のデスクをしている吉川さんに合わせ、
ヨナヨナ、ファミレスに集って打合せを重ねました。
僕らが無責任に喋り散らしたことを脚本の体裁に整えてくれて、
それを僕が大阪人の言葉に直す、という作業を経て、
どうやら脚本の形は整っていきました。
女性の立場からの意見は新鮮なことも多く、非常に助かりました。
が、やはり…
ただの惚れたハレタを見せられても面白くない!
という気持ちは変わらず、
男女のもつれを横軸とすると、縦軸が必要なんだ、と言い続けてました。
少年が初めて他者を知るという話の骨子を補強する縦軸とは何なのか?
探しあぐねている時に、ふと「アルカイダが新潟に潜伏していた」
というニュースがあったことを思い出しました。
これは何か手がかりになるのではないか、と思い、
「十三にビンラディンが潜んでいた」という話を持ち出しました。
最後には、「豚と軍艦」「セブンチャンス」の豚や花嫁の替わりに、
誰が誰か分からんようなドタバタ劇になる、というものでした。
ワクワクするし、これはイケルんじゃないか、と
急ピッチで改訂は進んだのですが、結論が見えません。
導入は
「十三にラディンがおるわけないやろ」
「いや、何と言うてもここにはセガールもおってんからな、わからんぞぉ」
なんてやり取りもあって楽しいのですが、
後半、実はやっぱりラディンはそっくりさんで、
「アラブ人やムスリムが全てテロリストではないんだよ」
なんてことを教条的に諭す…という結論が、
どうしても面白くない…。
しかし、ただの被り物的キワモノでアラブ人を扱うこともしたくない…。
それに加えて、限られた期間と予算で、
ラディンのそっくりさんが見つけられるかという
現実的な問題もありました。
さらには、何人かに読ませてみたところ、
「結局、家族の話かアラブ人の話か、焦点がブレている」という意見が多く、
「本当にやりたいのはどっちなの?」と問われました。
うーん…
そりゃやっぱり家族の話なんですよ…
泣く泣くラディン話を切ることにしました。
いつか、きちんと結論が見つかったら、別話でやろうかなぁ
(次回へつづく)
<撮影日誌5へ>
Pっちぎ2の関連の話で、仕上げの技師やんないかという話がありました。冗談じゃないですと丁重にお断りしましたが、やっぱりこの映画の完成披露で顔あわせちゃったからかなあ。。。監督なんてことしてくれたんですか!って愚痴ってみました。でも監督のおかげですよホントです。
この話聞くとどうしてもブルキナファソの映画思い出してしまう。ぜひ一度見てね。笑えるよ、あれも。映画公開まであと三日?四日?無理せんと、でもおきばりやす。
よっ技師技師!
井筒組でギリギリと絞られたら成長しますよ〜。
やるべきちゃう?
まぁ仕上げ録音部は一番辛いっすけどねぇ。
>ままりさん
ブルキナファソの映画、落ち着いたら見てみます。気張っとります。あちらこちらでよろしくお願いします。