2007年01月13日

ほんやく

前厄は過ぎて、本厄まであと5年、今のところ体調に変…

という話ではなくて、翻訳です。

難しいですねぇ、翻訳って。
バベルの塔を建てたヤツらを吊るし上げたいです、ホンマに。

070113-155130.jpg
いま、ガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」を読んでいて、
物語は大変面白く、訳も概ね読み易くて良いのですが、
いくつか気になった事が…。


「最悪のケースなら」
「マニアックなまでに」
「ちょっとしたブームに」
「社会的なイベントはもちろん」
「自分の方からイニシアティヴをとろうと」
「バスルームにトイレットペーパー」
など、英語に溢れているのです。

読み易くしようと思っての事だと思われるのですが、
物語が19世紀から20世紀前半のスペイン語圏・南米コロンビアの
上流階級の世界を主な舞台としているとあっては、
どうも違和感が拭えません。

「石膏」と書いて「ギプス」とルビを振ってあったりもするので、
ちょっと基準は分からないんですが、
「スキャンダル」を「醜聞」と書けとまでは言わないまでも、
上記の箇所の場合、

「最悪の場合なら」「最悪の事案なら」
「偏執狂といえるほどに」
「ちょっとした流行に」
「社会的な催しはもちろん」
「自分から主導権を握ろうと」

としても、読み易さに変わりないばかりか、
邪魔されずに読めると思うんですけどね。

しかし「バスルームにトイレットペーパー」は難しいですね。
「便所にちり紙」だとね…
「厠に落とし紙」
まあ、しょうがないか「バスルーム」で。
他の箇所では「トイレ」とも書いてあるんですが、
どう使い分けているんでしょうか。

いや、これも文句つけてるわけではなくて(つけてないわけでもないけど)
翻訳は難しいなぁという雑談でした。

「コレラの時代の愛」オモロいですよ。
帯から抜粋…

「夫を不慮の事故で亡くしたばかりの女は72歳。
彼女への思いを胸に、独身を守ってきたという男は76歳。
ついにその夜、男は女に愛を告げた。
困惑と不安、記憶と期待が
さまざまに交錯する二人を乗せた蒸気船が、
コロンビアの大河をただよい始めた時…。
内戦(「内線」とミスタイプしてました。
言葉について書いておきながら不注意!失礼しました。ままりさんMuchas Gracias!)
 が疫病のように猖獗した時代を背景に、
悠然とくり広げられる、愛の真実の物語」

でも、これが壮大でありながら精緻で下世話でユーモラス。
石鹸が風呂場に有るや無しやで、街を騒がす夫婦喧嘩に発展したり、
主人公の男も、他の男と結婚してしまった彼女への愛に殉じると言いながら、
軟派しまくった女性たちと肉体関係を結び、それを暗号でノートにつけていたり…。
豊穣な愛に関する詳細な記録,という感じ。
とにかくガボ爺の筆に踊らされるのが楽しいです。

「(※引用注・主人公フロレンティーノの叔父・レオ十二世は)
『わたしは金持ちじゃない』と答えた。
『金のある貧乏人なんだが、この二つはまったく別物だよ』」

「孤独な思いにとらわれていた彼
(※引用注・つかの間の愛人に突然去られたフロレンティーノ)は
激しい怒りに駆られてこうつぶやいた。
《人の心には売春宿以上にたくさんの心があるんだ》。
別れの悲しさに耐え切れず彼は涙を流していた。
しかし船が水平線の向こうに姿を消したとたんに、
フェルミーナ・ダーサの思い出が彼の全身を包んだ」


書き出すときりがないのでこの辺で…。

しいて欠点をあげれば、初めのうちは名前が頭に入らないこと。
長いし似てるし…。

フロレンティーノ・アリーサがフェルミーナ・ダーサを好きになるけど、
フェルミーナ・ダーサはフベナル・ウルビーノ博士と結婚したので、
フベナル・ウルビーノが死ぬまで待ち続ける、という話。
と、めちゃくちゃ短く要約しただけでも誰が誰やら…。
でも、そのうち慣れます。

同じ著者の「百年の孤独」では、孫が爺ちゃんと同じ名前をつけられたり、で
読み終えた頃にはアウレリャーノ・ブエンディーアとアルカディオ・ブエンディーアと
いう名前はソラで言えるようになります。その繰り返しが作品のテーマとも絡んでるから、
しょうがないし、それが気持ちよくなってくる。

それでも、出てくる度に名前が変わる「カラマーゾフの兄弟」(正式名から数ある愛称まで
アリョーシャ、アリョーシカ、アレクセイ、アレクセイ・フョードロビッチ・カラマーゾフ…
…全部同じ人!)よりはマシです。


興味を持った方はどうぞ↓

コレラの時代の愛
ガブリエル・ガルシア=マルケス著/木村榮一訳
新潮社 ¥3000


では、残り数十ページ、読み終えるのが名残惜しいですが、本に戻りまぁす。

え?掃除?

それはまた別の話…


posted by 小林聖太郎 at 17:37| 大阪 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | にっき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わ〜、今日本屋で発見しました!
ガルシアマルケスのラブストーリー、面白そう!装丁いい!見返しのワインレッドが渋い!
買おうかと思ったのですが、文庫本何冊か買ってしまった後なので見送りました。

罪と罰も、ラスコーリニコフだかラズミンヒルだかに、ミドルネームみたいのも、いっぱいついてきて、苦痛。
Posted by ぽつくん at 2007年01月14日 05:52
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