2007年01月15日

撮影日誌・7 ところが…

<前回までのあらすじ>
シナリオ作業と並行して始まった賢治役のオーディション。
難航していたところ、他作品でダメ男子を好演していた久野雅弘君に声をかけることに…。
しかし、それまで声をかけていなかったのは、少し似た話といえなくもない上に、
同じキャストだとますます似通ってしまうのでは…という危惧もあってのことだった。



まあとにかく、一度会ってみようということで、
中崎町の「プラネットスタジオ+1」に来てもらいました。
その場を、多少誇張して再現してみましょう。



小林+中村(以下<小>)「自己紹介おねがいします」
久野(以下<ひ>)「…あ…、ひさのまさひろ、です…」
小「…いま、高校3年?」
ひ「あ、はい…」
小「…休みの日はどんなことしてるんですか?」
ひ「…いや、特に…」
小「…」
ひ「…まあ、パソコンとか」
小「学校では?」
ひ「…」
ひ「…あ、パソコンとか…です」
小「え?授業で?」
ひ「はい、情報処理やってるんで。一日10時間ぐらいパソコンやってます」
小「…へぇ…」
ひ「…」
小「…彼女は?」
ひ「いやぁ…まわり男ばっかりなんですよ」
小「あぁ……ねえ…」
ひ「…」
小「…」
中村(空気を入れ替えるように)「とりあえず、芝居やってみよっか!」


当日渡した準備稿コピーから数シーンを抜き出して芝居してみるんですが、
そこでも、あまり「演じよう」「こんなことしてみよう」とする意思が見えてこない…。

暗ぁ〜い気分で会場を後にしました。
よりどころは「彼女いない」の真実味だけ。
もしかしたら彼は芝居することが嫌いなのか?と
まで思ったような気もします、今となってはハッキリ覚えてませんが。

「ごめん」の助監督をしていたTさんにも電話しました。
小「久野くん、大丈夫ですかね?あの時はどうでした?」
T「いや、相手役の女の子は芝居初めてだったから大変やったけど、彼はしっかりしてたよ」
小「はぁ……。でも、オーディションでは、こんなんだったんですけど…」
T「あぁ、人見知りはあるかもね。でも現場入ったら、ちゃんとできると思うよ」
小「…はぁ…」

悩んでいる僕に、中村氏は小堀君を賢治にすれば?という案も提示してきました。
でも、彼には「調子のいい親友」が一番フィットしていて「悩める主人公・賢治」ではない。

●久野=ガラ(<柄?>。ニン<人?>ともいう。
    その人から滲み出る個性、人柄、人間味など)はピッタリ。
   どことなく、父親役に既に決まりかけていた雀々さんと顔も似ている。
   しかし、小学生の時は味だけで行けたかもしれないが、
   大人になろうとしている今、演じる技術と意欲がなくては…。

●小堀=経験少ないが、明るく頭脳明晰で勘は良い。
   ガラは、よくも悪くも少し軽い。

●A君=ナヨッとしたイケメン。経験なし。
   今のところ芝居は全くできないが事務所のプッシュ等でこれから露出するかも。


しかし、締切りは迫るものの決めきれず…。

中村氏のアイデア(というか早よ決めろ!と無言の圧力)で、
各事務所に無理を言って、もう一度、久野、小堀、ともう一人、
東京オーディションに来た大阪在住の現役高校生、の3人に
集まってもらいました。

目的はひとつ。
久野君がこの役を、やる気でいてくれてるか?
我々は彼にこの作品の運命を託していいのか?を、
確認すること、です。

そして中村プロデューサーがいきなり挑発します。
中「なんで呼んだかって言うと、君ら、全員ダメなんだよ。
  決め手がないの。素人と一緒。だから今日は君らの根性を見るから」
全員「?」
中「はい、腕立てやって。できなくなるまで」

小(ええっ?…まあええか、見てみよっと)

だれもがよく飲み込めないまま、腕立て、腹筋、背筋、モモあげ…と、
今入って来た人がいたら「筋肉番付」のオーディションかと思うような
筋トレが続きます。

その後、中村氏の過剰なまでのダメ出しに
久野君の目が(クソッ)と光りました。
いや、「素人」の言葉の時にも、彼の目が反発の色に輝いてた…。


改めて芝居をやってみます。
先日とは大分違う創意と工夫が見え始め、しめしめ。

根性論や筋トレが毎回いいとは思いませんが、今回は効果があったかのな…?どうかな?
とにもかくにも、中村さん有り難う。



オーディションは優劣を争うものではなく、
いかにその役に合う人か、
演出家や作品との相性、
他の配役とのバランス、
そしていかにその役を意欲を持って咀嚼できるか……

…等を見るものだと思います。
社交辞令ではなくて、今回一緒にできなかった人たちの中にも
面白い役者さんは何人もいました。

でも、今回の「賢治」を体現してくれるのは、
久野君しかいない!と確信できた夜でした。
たとえ誰かが他の作品に似てる、と思ったとしても、
この作品の賢治は彼以外にはいないのだ、と

そしてそれは間違ってなかったと思います。

そんなんでね、どんなんや。



ちょっと色々書きすぎたかな?

まあ、ええっか……。

撮影日誌8へ>
posted by 小林聖太郎 at 15:55| 大阪 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | さつえいにっし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごい、すごい!!!こんな筋肉番付仕様のオーディションするんですね。彼等の根性がズバリ分かるし意欲もバッチリチェックできて良いかも・・・それにしても配役がとても素晴らしい。役どころにピッタリなので感激いたしました。本当に役者さんと役どころの相性って大切ですよね。
Posted by とら at 2007年01月20日 00:07
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