2007年09月17日

撮影日誌11・衣小合せ

「衣装合せ」と「小道具合せ」を
短く表記したものが「衣小合せ」です。

うっかり「○日に衣裳合せです」などと
持ち道具さんにファックス送ったりすると
「私は行かなくていいんでしょ?」と
嫌味を言われたりすることもありますので
注意してください。(誰に言うてんねん?)


さてさて、すっかりこんなコーナーが
あったことすら忘れられかけてますが、
秋野さんと顔合わせしたところまで行きましたね。
復習しときたい人はこちらから


ロケハンとリハーサルがバッチリ重なってしまって
応援に来てくれた武さんにリハーサルを託すことが
多かった毎日。
「かぞくのひけつ」の衣裳小道具合せが
スタッフルームとして借りていたマンションの一室で
執り行われました。
数日にわたってやったのですが、
まずは主人公賢治くんと若者たちです。学生服と部屋着プラスαという
簡単なものなので、一組目の
賢治と村田は一時間ぐらいで
全部決められるかな、と思っていたのですが、
これがなかなか。

衣裳担当助監督に
演出部としてのプランがなく
監督に丸投げなのと
衣裳部の情報を把握していないので
時間がかかってしょうがないのです。

普通は、事前に衣裳部と演出部で
シミュレーションをして、
(口では趣味レーションって言うてまいません?関係ないですが)
監督からの反問を想定した上で、
さらに2、3プラン考えておく。
余裕があれば、さらに遊びも……なんていう
下準備をしておくのが普通、というか
そここそが演出部の仕事であり楽しみであり
存在意義なのですが、
まあ、なかなか……ねぇ。

こうやって書いていくと愚痴か個人攻撃に
とられても仕方ないようなことに
なりそうなのですが、それは本意ではありません。

演出部を目指す人や、助監督って何してる人?と
いうことに興味を持っている人に
知ってもらいたいために書いてることを
ご了承ください。
読んでる人をイヤな気にさせたくはないので。


そんなこんなで、学生軍団を決めるのに半日以上かかってしまいました。

さて、気にかかるのは次の衣小合わせ。
制服と部屋着で、こんなに苦労するなら
秋野さんやちすんなど女性陣はどうなるのだろう?
怖くなったので、もう一回衣裳部と
実際に今集まってる衣裳を元にして話しました。

「これが足りない」「こんなものも用意しておいて」等々。

次回まで中2日あったのでギリギリ修正は効くと踏んだのです。

そして迎えた3日後。

午前中は中崎町でリハーサルをしていたのですが、
武さんにバトンタッチして十三の衣裳部屋へ。

秋野さんを迎える筈なのですが、
衣裳部屋のあるマンションに着いてみると
前の道路で助監督がウロウロしています。
「どうしたん?」との問いにもムニャムニャ……。
まあええわと思い上に上がったのですが、
秋野さんが場所を間違えて
中崎町に着いていたらしいと聞きます。

助監督に、地図を送ったのか確認すると
「いやプロデューサーの中村さんが……ゴニョゴニョ」と
口ごもっています。
ハッハァ〜ン、地図を送ってないので
以前行った事のある中崎町のリハーサル場所に行きはったという事か。


一方時間を少し遡って、中崎町。
武さんがリハーサルしていたところ、
高校生役の皆がソワソワ武さんの後ろを気にし始めた。
何をチラチラ見てるんだ?と振り返ったら秋野さんが
ニコニコしながら座ってる!

「気にせんと、続けて。監督はまだ?」

何が起こったのか一瞬把握できなかった武さん、
リハーサルを再開しかけて、ふっとサイアクの可能性に気づいた。

「……秋野さん、衣小合わせ、ここじゃないんです」

「…どういうこと?」

でも武さんも応援で来てくれたばかりで、
衣小合わせの場所も説明できない。
秋野さんにはそんな状況伝わってないし、
説明する訳にもいかないし、
(あんたがいて何でそんなことになるの?)と
言われてるような気がして辛かったなぁ……と
あとから聞かせてくれました。
皆さんスイマセン!


結局、一時間弱遅れて秋野さんはタクシーで到着。
衣小合わせが始まりました。

しかし、事前に打ち合わせていたものも、
3日前に具体的に頼んでおいたものも、
揃っていません。

着てもらってもしっくり来ないまま、
20分ほどが過ぎました。
突然、秋野さんが
「あかん、ここにはないわ」と
衣小合わせの会場を飛び出したのです。

すわ、降板?
まさか!

機転を利かせてくれはりまして、
商店街に繰り出したのでした。
しかも店が閉まる直前の素早い決断。

後から追いかけた我々も、助監督に先に行かせて
店閉めるのを少し待ってもらうよう交渉。
一軒一軒見て回りました。

しかも、なかなかええヤツやね、と
選びかけたものも、しっかりと値札をチェック。
「6000円は高すぎるよね?」と
衣裳費のことまで気にかけてくださいました。
感謝感激雨あられでございます。

でも、一往復して、少しメドがついた帰り道。
小雨降る横断歩道で
「ワタシ、こういう衣装合わせ初めてやわ」と
言われた時には、脇から汗が噴き出す音が聞こえたほどです。
「ほんっっっまにスイマセンでした!」
消え入りたい気分でした。

しかも、少し残った課題をさらえる為に
次の日の予定を変えて朝イチにもう一度
衣小合わせに来て下さるとの事。
オットコマエすぎます。
「S子の母親の服も持って来させますわ」と
自前まで駆使していただいて
ようやく衣裳が決まりました。

本当に、並の女優さんやったら
帰ってしまわれても不思議じゃない事の
連発でしたが、衣小合わせは、その始まりでした。

つくづく秋野さんでよかった!……と
胸を撫で下ろすと同時に、
胸が締め付けられるのです。

ホンッッッッッマにスイマセンでしたっっ!!

(つづく)


撮影日誌12へ>
posted by 小林聖太郎 at 02:52| 大阪 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | さつえいにっし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
監督!!!面白すぎです!!!
Posted by とら at 2007年09月17日 20:51
ひやひや話(胃が痛くなるシリーズ)書かせたら世界一ではないでしょうか。
秋野さんのサンバイザー(よくTVショッピングで見ましたが)素敵でした。しかし(主に関西圏の)おばちゃんは誰の前で美しく見られたいために日常のほとんどの時間を面白い姿で過ごしているのでしょうか。その他黒い長ーい手袋着用の方もよく見かけます。

今日は30000かと思って見たらブログカウンター×になってました。
Posted by ドンドコ at 2007年09月18日 07:07
三国由奈ちゃんのブログで知りコメントかかせていただいています。
東京公開楽しみにしているので頑張ってください!!
由奈ちゃんのオススメする映画をみんなで応援しますo(^-^)o
Posted by タム at 2007年09月18日 14:35
>とらさん
>面白すぎです!!!
皆様に楽しんでいただけたら何よりです……。


>ドンドコさん
>胃が痛くなるシリーズ書かせたら世界一
どーもです。
そう言っていただけるならば、胃が痛い毎日を送ったかいがあるってもんです。

>秋野さんのサンバイザー素敵でした
あれは秋野さんアイデアです。

>おばちゃんは誰の前で美しく見られたいために日常のほとんどの時間を面白い姿で過ごしているのでしょうか
ハハハ、ほんまですね……。
白鳥が逆立ちして泳いでるみたいなもんですな。
水の上に足バタバタ出してもがいて沈んでいく……なんて。
言うてたら、オバちゃんから「オッサンもや!」って
反撃くらいそうですが。

>タムさん
>三国由奈ちゃんのブログで知りコメント
>東京公開楽しみにしているので頑張ってください!!
>由奈ちゃんのオススメする映画をみんなで応援しますo(^-^)o
おおっブログに書いてくれたのですね、三国さんありがとう
http://www.ecolifecafe.com/blog/2007/09/post_99.html#comments

ぜひぜひヨロシクお願いしまっっすっっ!
Posted by kobayasi at 2007年09月19日 02:46
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