2007年09月30日

ペンは剣よりも

みなさんご存知でしょうが、
先日、APF通信と契約していたフリージャーナリスト
長井健司さんがビルマ(軍事政権による自称は「ミャンマー」)
軍事政権の治安部隊に射殺されました。


当初「流れ弾に当たって」と報道されていましたが、
その後の報道や映像を見る限り、狙い撃たれたという方が
近いと思われます。

http://www.youtube.com/watch?v=JkHxl2j4eHM
http://www.youtube.com/watch?v=yh6CjmxudZM&mode=related&search=ロシアでも昨年、

チェチェンに対するロシア軍の行動を批判してきた

女性ジャーナリスト:アンナ・ポリトコフスカヤさんが

自宅アパートのエレベーターで暗殺されました。
ソ連崩壊後、200人を超えるジャーナリストが、
何者かによって殺され、ほとんどのケースで
犯人が捕まっていないとのこと。


本来的にジャーナリストは、危険な職業です。
「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」
という言葉を例に出すまでもなく、
常に市井に生きる人々の視線から
権力の腐敗を監視し、告発し、
是正していくべき大切な役割を担っているだけに、

腐敗した権力から、監視され排除され圧力をかけられることを
覚悟しなければならない、と思います。



しかし今の日本には「ジャーナリズム」や
「報道」という言葉にふさわしい活動を続ける
マスコミュニケーションは、ほとんどなく、
ただ立法行政司法機関の広報部と化してしまっています。
(もちろんその中で必死に格闘している個人は居てはるでしょうが)

警察や官公庁などの取材先に寄生した記者クラブに所属し、
それら取材先からのリーク情報だけを素材とした、
報道業界内での談合による「報道」しかないのでは、
「ジャーナリスト」を名乗るべきではないでしょう。



「ペンは剣よりも強し」


という言葉があります。
実際は、物理的には剣の方が強いに決まっているのですが、

言葉には人を動かす力が内在しています。

たとえ殺されたとしても、
伝えるべきことを
伝えるべき時に
伝えるべき人々に向かって
書き続け、撮り続け、放送し、
上映し続けなければいけません。

そういう気持ちを籠めて

「ペンよ剣よりも強かれ」

と、自分たち自身に言い聞かせましょう。

何か長々と支離滅裂なことを
書いてしまいました。

しかも、こんなことを書いていても、
日々の仕事に戻ると、
すぐに忘れてしまう自分が情けなくなります。

「ホテル・ルワンダ」と言う映画でも
ホアキン・フェニックス演じる報道カメラマンが
「テレビの前で虐殺のニュースを見たヤツらなんて、
 3分後には野球の結果を見て全部忘れてしまう」
と(いったようなことを)言ってました。

そんな自分に鞭打つ為にも
敢て、長々とした文を残します。


そして、あらためて……

長井さんの、そして今まで
力持つもの達により、
不当に殺されたジャーナリストの方々の

ご冥福を心の底から祈ります。


posted by 小林聖太郎 at 09:46| 大阪 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | ざっき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
見ました。
同業者とはいえ、日本で安全に仕事をしている私には、ただ冥福を祈ることしかできません。
橋田さん、小川さんの時もそうでしたが…。
Posted by かりや at 2007年09月30日 11:00
>かりや
でも、翻って考えてみると、
日本が決して安全な訳ではなく、
「危険」なことに蓋をしてるだけじゃないのか?
とも思えます。

参考
「山谷 やられたらたりかえせ」
http://homepage3.nifty.com/joeii/jyoeii/
Posted by kobayasi at 2008年02月28日 05:07
ご無沙汰しております。
先日、トト姉ちゃん」でこの言葉が出てきて、どっかで見たと思ったらここでした。あースッキリした。
『破門』、期待 大です!
Posted by ドンドコ at 2016年09月12日 18:38
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