もしかして今日もヤン君のうちにお世話にならなあかんのか…と
あきらめかけた頃、電光掲示板に表示が現れました。
プラハ行CNL353
ちなみに昼間のホーム
しかし発車時間の10分前になっても影さえ見えません。
ホームで待つ人が増えてきたので
来ないことはないだろうと思いつつ、
これは遅れるかも…と思ってると、
発車1分前にホームに滑り込みました。
写真を撮る間もなく、
乗り降りが済むとベルも放送もなしに
すぐに発車しました。
十三から梅田行きに乗るよりも愛想なしです。
まあそれがこちら流なのでしょうがないですが、
旅情なんてものはありません。
乗り込むと寝台コンパートメントには既に先客が。
そう、フランクフルトは経由駅なのでした。
片側3段×2で6つのベッドが捕虜収容所のように
並んでいます。上下の間は腹筋運動できない程度の
隙間しかありません。
チケットに記載されている一番下に乗り込むと、
向かいにはゴルバチョフを痩せさせたような
オッサンが横たわって無言でこちらを見つめています。
「グーテンアーベント」
挨拶しても無言です。
するとガラッと扉を開けて小太りドイツ人おばちゃんが
スリップ姿で入ってきました。
「Sprachen sie Deutch?」と聞かれたので
ナインと言い切ると、オバちゃんちょっと困り顔で
「Back! Problema!」と連呼します。
意味が分からず首を傾げていると
突如背中を向けてパンツを
下ろし始めるではありませんか。
ゴルバチョフは相変わらず無言でこちらを見ています。
狭いコンパートメントから出るに出られず
立ちすくんでいると
オバちゃんはお尻の割れ目の少し上にある
手術跡を指差しています。
ようやく理解したところによると
腰痛いんであんたの一番下の席と
代わってくれへんか?と
交渉していたのでした。
こちらは別にどこでもいいので
快諾しますと、オバちゃん親切に
「English man over here」とか
「Jacke hier」とか教えてくれます。
お礼をいいつつ靴をベッドの下に滑り込ませると
オバちゃんの飼い犬がケースに入っています。
犬アリなんや…
気にせず中段のベッドにシーツを敷いていたところ
上段の英国人……
ではなくアジア人がリュックを背負って入ってきました。
どうやらこの部屋の5人目の乗客のようです。
コロンビアのパーカーにサロモンの運動靴。
顔立ちは日本人っぽいですがよくわかりません。
海外で日本人に話しかけられるのを嫌がる人も
いるので、とりあえずそっとしておきます。眠たいし。
ゴルバチョフ、まだこちらを見ています。
ニコリともしません。
早よ寝てくれ。
列車はけっこう揺れます。
上の段の日本人風がカタカタカタカタ
何かを小刻みに叩いているのが気になって
なかなか寝るに至りません。
様子を見がてら上段の荷物置き場に
リュックを上げると
「タノフライト?」と後ろから声がかかりました。
「Sorry?」
「Turn off light?」
「....Oh! You wanna turn the light off, right?」
「yeah」
「Ja, off couse OK」
どうやら日本人ではなさそうです。
何となくの訛りぐあいからして中国の人でしょうか?
本当に真っ暗になったので他の人たちの様子は全く分かりません。
ゴルバチョフ、頼むから寝といてくれ……と
目を瞑って横になっていると……。
やっぱりです、オバちゃんの犬、
何を思ったか警戒態勢で吠えまくり。
それを制止するオバちゃんの声も
大きい大きい……。
フランクフルトで乗り込んでから
まだ15分ほどしか経ってません。
これから10時間の旅、どうなるのでしょうか?
意外ともうちょい続く……
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